新薬師寺(うまし夏めぐり)

光明皇后が聖武天皇の病を癒したいと建立されたと言われる「新薬師寺」。奈良公園の一角に位置する高畑エリアに佇んでいます。

東大寺山堺四至図に描かれている奈良時代の新薬師寺は、金堂や東塔・西塔などの七代伽藍を備え、「東大寺」境内に隣接していた大寺院だったそうです。当時七体の薬師如来とそれぞれに脇侍の日光・月光菩薩が作られ、安置されていました。

その後、度重なる自然災害等により、780年に西塔への落雷、967年に台風の風にあおられ金堂が倒壊、そして1180年に平家の大火により壊滅的な被害を受けます。

現在残る奈良時代の建造物である本堂は、もともと食堂だったと推測されますが、”天平”の文字が残る、天平時代最高傑作の一つ・国宝十二神将がご本尊に背を向け、外敵から守るためそれぞれ思い思いのポーズで守護します。苦しみを受け止め、正しいことをして一つ一つ解決していくために、苦しみを少しでも和らげたいという思いが容姿に現れているご本尊薬師如来坐像。穏やかで強く、優しく包み込むようなふくよかなお姿です。

今年の奈良うまし夏めぐり「新薬師寺 国宝の本堂で早朝特別拝観・通常非公開の香薬師堂特別公開」では、本堂貸切拝観と併せ、非公開”香薬師堂”も僧侶さんのご案内により特別拝観していただけます。

別々のお地蔵さまとして祀られている秘仏「景清地蔵」と、「おたま地蔵」。平成の修理の際、「景清地蔵」の内部に「おたま地蔵」が隠されるような形で発見されました。表面にあるお地蔵さまとほとんど同じ大きさのお地蔵さまが内部にあるケースは極めて珍しく、安産や健康にご利益があるとして信仰を集めています。